活動紹介 >> 出張授業

0to1の出張授業プロジェクト

セミナー風景

0to1では,大学院生による高校生へのセミナー活動を行っています.

なぜ出張授業か

私たちは,出張授業プロジェクトを,次のような理念に基づいて行っています.

1. 出張授業は,大学に蓄積されている知識を社会に還元する

2. 出張授業は,理学系への進路選択の一助となる

3. 出張授業は,大学院生のコミニュケーション技術の向上につながる

大学院生による出張授業

「科学の現場のエキサイティングな話を聞きたい!」

そのようなニーズはたくさんありますが,とりわけ高校生に対して科学をアピールし,学問分野に対して興味を抱いてもらうことは,単に理科教育を行うということに留まらず,将来の学問研究を担う若者を育てるという観点からも,意義のあることであると考えています.科学に従事する人々の中でも,特に大学院生が高校に赴いて授業をすることは,高校生との年齢の近さによる親近感,あるいは若いエネルギー,これから研究に邁進する意欲,などの面で他の年代層の研究者よりも高校生にとって身近で魅力的なものに感じられます.

高校生は勉強や部活動の合間を縫って将来の進路選択に悩まなければなりません.そのような高校生たちに出張授業を行うことは,以下の点でメリットがあると考えています.

  1. 高校生の進路選択の上で参考となる
  2. 研究者という生き方を高校生が想像する時に,「自分の数年後」の具体像を説得力を伴って示すことができる
  3. 大学院生の,まさに研究者になる途上のアグレッシブな姿勢と熱意を高校生に直に感じ取ってもらえる

組織的な活動

大学院生は,普段の研究生活に追われて大変忙しい日常を送っています.このため,仮に高校生などへのアウトリーチ活動に関わっていきたいと考えている大学院生がいたとしても,研究への支障を考えて諦めてしまう大学院生がいるという現状があります.

私たちは,なるべく大学院生の負担を減らしながら,良質の授業やセミナーを高校生に対して提供できるようなしくみを構築しようとしています.私たちは,0to1が,理学系研究科の中の多彩な分野から集まった人材のプールであるという点に注目し,そのような多方面から集まった人たちがお互いのセミナーの発表練習を厳しく評価し合うことで,内容と技術の両面からセミナーの質を向上できると考えています.

若手の力

グループによる活動

出張授業プロジェクトでは,出張授業を行う先の学校ごとに,グループを形成します.グループには一人オーガナイザーを設け,オーガナイザーは学校の教員との折衝や日程の調整にあたり,全体のセミナーの形式,時間,スタイルを決定するなど,その学校におけるセミナーについての責任を負います.グループでは,オーガナイザーの指示に従って,期日までにセミナーの内容を準備したり,あるいは生徒への宣伝用のセミナー概要を執筆したりします.そしてグループごとに発表練習会を設け,そこに時間のある0to1メンバが参加し,忌憚のない(あるいは辛辣な)評価を行うことによって,セミナーの質の向上を目指します.

セミナーを行う者は,必ずしも0to1メンバである必要はありませんが,オーガナイザーについては0to1メンバが責任をもってあたることにしています.

次につなげる

セミナーを単にやりっぱなしで留めてしまったのでは,0to1の総体としてのセミナーの質の向上につながりません.私たちはセミナーの内容についてフィードバックを行うことによって,次回以降のセミナーの質の向上につなげる努力を行っています.

ここに言うフィードバックには二段階あります.まず,セミナーを聞いた生徒からのセミナー後のアンケートを実施し,加えてセミナーを担当した学校の教員と反省会を設けます.特に学校の教員との反省会を私たちは非常に重要視しています.普段生徒に接している「先生の眼」から客観的に見て,セミナーの内容がどれだけ効果があったのか,あるいは「教えるプロ」である教員の眼からみて,(一般的に大学院生の教える力は相対的には拙いものであるはずですが)高校生にどれだけ内容を伝えることができたのか,などについて顔を突き合わせて話をすることで得られるものは計り知れないと考えています.このように,教えるプロである高校の先生方の力をお借りしながら,大学院生ならではの若いパワーで科学の現場を高校生に伝えることができることを,私たちは理想の形と考えています.

活発な議論

第二段階のフィードバックは,0to1の中での技術の蓄積です.0to1では様々な教育理念をもつ高校と接しながら,多様なセミナーのあり方を模索していきます.そして,それぞれのセミナーについて,報告書の形でまとめてアーカイブとして蓄積していきます.その中には,あるいは野心的に挑戦したが思うような反応が得られなかったり,あるいは保守的に走りすぎて面白みが欠けてしまったような,反省点の残るようなセミナーもあるでしょう.また,総体としては悪くなくても,一度セミナーを行えば局所的には反省する点が山ほど見つかるはずです.それら反省点の中には,個人の力量にかかる部分もあれば,構造的に万人に通ずる部分もあり,またちょっと注意すれば改善できることも多く含みます.それらをまとめ,整理していくことで,例えば「大学院生の陥りやすい失敗の例」,「分野に適したセミナーの形式」というものが自然と醸成されていくと考えられます.そうすればそれは「出張授業虎の巻」として,発表練習などで生きたノウハウとして大いに威力を発揮するはずです.それがゆくゆくは私たちの目指す「負担と質の両立」を実現するものになるであろうと,私たちは確信しています.

これまでの実績

日付実施校内容受講人数備考
2008/3/17滋賀県立膳所高等学校
「物理学の魅力」
5人程度
2008/11/15私立聖徳学園高等学校「火星の表層環境を探査する」
「物理学の魅力」
50人
2008/7/15国立東京学芸大学附属高等学校「美しさの向こう側」
「生きてるってどういうこと?」
22人
2008/7/14埼玉県立川越高等学校「光をとらえる」
「ナノテクノロジーを支える物性科学」
25人程度SSH指定校
2008/7/12私立桐蔭学園高等学校女子部「中身よりも大事な表面の科学」
「惑星探査ウラ話」
「素粒子実験に見る科学のココロ」
「いのちの不思議に魅せられて」
「わたしの話すことは全てウソです」
「ダークサイドへようこそ!」
各6-35人
2008/5/19群馬県立高崎女子高等学校「素粒子で宇宙の謎に挑戦」
「霧箱で放射線を見てみよう」
80人程度SSH指定校
2008/1/21埼玉県立川越高等学校「加速器で探る素粒子の世界」
「宇宙線を見てみよう」
50人程度SSH指定校