0to1代表からのご挨拶

2011年3月11日に起きた東北地方太平洋沖地震で被害に遭われた皆様にお見舞いを申し上げるとともに,お亡くなりになられた方々に心から哀悼の意を表します。

はじめまして。2011年0to1代表の理学系研究科、地球惑星科学専攻D2の久保田好美です。

故きを温ね新しきを知る。私の研究分野は過去の地球の気候変動を紐解いていく“古気候学”と呼ばれる地球科学の一分野です。過去にどのように地球の気候が変動してきたのか、そのパターンやメカニズムを解明できるよう研究しています。0to1に参加するようになったきっかけは、研究を続ける中で学んできたダイナミックで美しい地球の姿や、未知なる世界に挑んでいく科学の面白さを多くの人に伝えたいという思いからでした。一方で、古気候学は人類の進化や文明の盛衰に気候変動がどうかかかわってきたのかを探求する学問分野でもあります。気候変動などの環境問題に対し科学者はどのように社会と向き合っていけば良いいのだろうか、と考えを巡らせることがよくありました。アカデミアと社会はどうかかわっていけば良いのだろうか。こうしたことを考え、議論する場が0to1にはあります。

0to1では、2007年の設立から"科学コミュニケーション”や“アウトリーチ”といったキーワードで大学院生や大学生自らが企画して、多様な活動を行なってきました。学部生から若手研究員まで、理学系に限らず工学系や人文系など、多分野にまたがった幅広いメンバーがいることも特徴の一つです。参加メンバーはいろんなきっかけで活動に参加しています。科学をとりまく現状に問題意識をもっている人、自分の専門分野だけではない他分野の人との交流を求める人、また、アカデミアだけではなく社会とのつながりを求める人など、さまざまな思いを持つ人が集まっています。これからも0to1は、大学院生や大学生同士が気軽に(たまには真剣に)議論する場であり続けると同時に、積極的に活動したい人を皆で応援し、ともに活動していく団体でありたいと考えています。このウェブページやさまざまなイベントを通して皆様と交流できることを私たちも楽しみにしています。

(2011年4月 久保田 好美)

0to1の設立にあたって

こんにちは,横山広美です.

「0to1」は2007年夏に結成した東京大学大学院理学系研究科の学生メンバーを中心にした科学コミュニケーション活動グループです.このグループは「自分たちにできる活動をやってみたい!」と思った学生さんが相談に来てくださったことから始まりました.

科学と科学を囲む環境には色々な問題があります.それらの問題を等身大で考えると同時に,「楽しい、面白い!」と思って日々取り組んでいる研究の新しいアウトリーチの形を模索していきたいと思います.

研究者を志す若手が,科学の未来を考え「ふたつの活動」両方をすることが大事であると考えています.まずは自分が楽しむこと.それを全体の幸せにつなげていくこと.この視点からみんなで活動をしていきたいと思います.是非、私たちの活動にご注目ください.

(2007年9月 横山 広美)

前任の0to1代表者たち

2010年度代表:近藤 菜穂 (2010.4 - 2011.3)

皆さん、はじめまして。東京大学大学院農学生命科学研究科 博士2年の近藤菜穂です。大学院での研究対象は、土壌中で脱窒(窒素化合物を窒素ガスへ還元する過程)に関与している微生物群です。肉眼では決して見ることが出来ない生き物たちのダイナミックな生態について日々研究をしています。

高校時代、生物の授業で細胞分裂の仕組みを習った時、自分の体の中で日々こんなことが起きているなんて!と衝撃を受け、とてもワクワクしたことを覚えています。その科学がくれたワクワクが、私をここ(博士課程)まで連れてきたように思います。

しかし、大学院で学ぶうちに、ワクワクだけではどうにもならない、科学を取り巻く複雑な現状が見えてきました。そして、科学者(の卵)として暮らしていて、「研究者という存在が社会から求められていないのでは」という漠然とした不安を感じるようになりました。「そう感じた原因がどこにあるのか、どうしたらそれを改善できるのか。」疑問を持った私は、まずは科学を取り巻く現状について知り、考えることから始めようと思い、0to1の活動に参加しました。

0to1のメンバーが活動に参加するようになったきっかけやモチベーションは様々です。ですが、科学が好きで、科学の未来をより良くしたいという思いは共通しています。ほかにも、いろんなワクワクする話を聞きたいというのも共通した気持ちだと思います。「科学の未来」という重く、大きなテーマについて取り組んでいますが、参加しているメンバーは決して悲観的にはなっていません。みんな自分の研究が大好きでパワーにあふれています。そして、私たち学生にも何か出来ることはあるはず、そう信じています。

0to1の活動に少しでも興味のある方は、ぜひ気軽に声をかけて下さい。一緒に楽しく科学の未来について考えてみませんか?

(2010年4月 近藤 菜穂)

2009年度代表:豊田 丈典 (2009.4 - 2010.3)

toyota

皆さんはじめまして。地球惑星科学専攻D1の豊田です。普段は木星の衛星や火星の表層環境を研究しています。自分では決して到達できない遠い惑星の環境がどうなっているのか、地球との違いはどのように生じたのか、そういった事に思いを馳せながら日々勉強しています。

私は2007年4月に大学院へと進学しました。大学院教育の下で専門分野への理解を深めていく事は、楽しくてやり甲斐がある事だと感じました。しかしながら、勉強すればするほど視野が狭くなっていくような感覚を覚えたのも事実です。勿論、研究者を目指す者の端くれとして、自身の専門分野を磨く事が最優先なのは疑いようがありません。ですが、それは他分野へ目を向けてはいけないという事では無いと私は思います。自分自身の専門分野を持った上で、異分野の人々と交流していきたい。私はこのように考え、0to1の活動に参加するようになりました。

0to1の活動も3年目を迎え、私は自分の判断が正しかったという事を確信しています。異分野の皆さんから受ける刺激が、私自身の意欲を大きく向上させています。非研究者の人に自身の研究を話して興味を抱いてもらえるという体験は、私の研究には研究上のみならず違った意義もあるのだと感じさせてくれます。様々な専門分野や特技を持った人が集まり、実際に行動を起こし、自分の周囲の環境が少しずつ変わっていくという事に感動しています。

0to1に参加している皆さんの動機や活動スタイルは千差万別です。その多様性こそが、0to1の活動を楽しく意味のあるものにしているのだと思います。0to1の活動に少しでも興味を持って下さった方がいれば、ぜひ気軽に声をかけて下さい。あなた自身の個性が新たな刺激となり、また面白い事が出来るに違いありませんから!!

(2009年4月 豊田 丈典)

2008年度代表:小寺千絵(2008.4 - 2009.3)

  • 2008年度当時,理学系研究科生物科学専攻 博士課程1年

代表挨拶(2008.4.22)

こんにちは。小寺千絵です。 私は生物科学専攻の博士課程の学生です。 “生きているってどういうことだろう?”ということが知りたくて日々研究しています。 毎日手を動かして、頭を働かせて、生き物・生命について考えるのは、 なにものにも代えがたい楽しみです。 それとともに、私は二人の子供の母でもあります。 子供たちが生きていく未来が、楽しく魅力のある世界であるようにと願っています。

そんなところから、自分ができることを考えた時、 自身が面白いと思っているサイエンスを伝え残していく努力をしよう、 というのが一つの答えでした。

しかしそのためには、改めて、サイエンスの現実を見つめることが大切です。 サイエンスの魅力や力だけではなく、置かれている状況や抱えている問題、 社会から求められていることも含めて、科学者を目指す自分たち自身がきちんと把握してこそ、 その先の一歩が踏み出せるのだと思っています。

ここに集まっているメンバーの専門や各人の具体的な動機はそれぞれ異なります。 しかし、皆に共通な想いがあります。 夢中になって日々取り組んでいるサイエンスを、先へとつなげていきたい気持ち。 我々が生きているこの社会を、より魅力のあるものとして継続させていきたい気持ち。 そしてこの両者が融合したところに、私たちの活動はあります。

ゼロの状態から初めの一歩を踏み出すサイエンスのように、 私たちは、初めの一歩を踏み出します。

このホームページを訪れてくださった方々、0to1の活動に触れてくださった方々とともに、 より良い未来を創っていきたいと思っています。

(2008年4月 小寺 千絵)

2007年度0to1代表・0to1設立者:佐々木浩(2007.7 - 2008.3)

  • 2007年度当時,理学系研究科生物化学専攻 博士課程1年

代表挨拶(2007.9.28)

皆さん初めまして.佐々木浩と申します.現在,東京大学大学院理学系研究科生物化学専攻の博士課程に所属しています.

僕は科学者(生物学者)になろうと思っています.科学者になりたいというモチベーションは,つまるところ,科学はとても面白いと思っていることに起因します.自然に潜む謎を自らの手と頭で解き明かしていく楽しさは何物にも代えられません.

ところが,科学を取り巻く環境は,あまり楽しくないのが実情です.友人の言葉を借りれば,科学者として生きていくのは「しんどい」のです.理科離れのような科学と社会とのあり方だけでなく,ポスドク問題のような日本の科学の問題,そして,科学はどうあるべきかという本質的な問題まで,このままではまずいと思うところが盛りだくさんです.

さて,面白い科学が抱える面白くない状況を果たして,どうすれば改善できるのでしょうか? その解決策を見つけるためには,まず行動してみるしかないと考えました.そして同時に,自分だけでなく,問題意識を共有する周囲の人々を巻き込んで行動したいと考えました.

未来の科学を創るのは,私達,学生自身だと思っています.学生や若手研究者の立場から今よりももっと,科学の美しさや「わかる」ということの楽しさを伝えるとともに,未来の科学のあり方を考えていきたいと思っています.そして,いつの日か,科学も科学を取り巻く環境も,今よりも面白くなることを目指して私達は活動していきます.多くの人に私達の活動を知っていただき,ご支援いただければ幸いです.

(2007年9月28日 佐々木 浩)