膳所高校訪問記

講師 喜多村 茜 (工学系研究科原子力国際専攻 D2)

膳所高校写真1

出張授業をおこなった視聴覚室

 
膳所高校写真2

自己紹介をする喜多村さん

 
膳所高校写真3

熱く語る喜多村さん

 

私が出張授業の講師を希望した動機は、東大で研究生活を送るようになった今、どうしても高校生だった頃の自分に伝えたい熱い想いがあったからです。過去には戻れない、だからこそこれから羽ばたく高校生に伝えたい。大学生活とはこういうものだ、研究にはこのようなステップがある、高校生の今、何を考えておくべきか―。このコンセプトを基に授業内容を「博士課程への進学に至った経緯」、「具体的な研究生活」、「生徒へのメッセージ」の3部構成にしました。

話をする上で最も大事なことは、いかに生徒の心を惹きつけるかだと思います。そのため、始めに母校の先輩である私自身の高校生活を語り、最後にこれまでの経験から得た私の信念を10の格言という形にして送ることにしました。また私の専門は加速器を使った医療用材料の開発ですので、研究生活の紹介には運転中の装置や試料分析の様子など、現場の写真をたくさん使用しました。これは具体性を高めるためだったのですが、加えて授業に流れを持たせるという効果もありました。

授業の進行にしたがってつい熱弁となったのですが、アンケートの回答には「研究に対する意識の高さを感じた」、「研究の楽しさと大変さがとても伝わってきた」、「研究したいという気持ちがより強くなった」とあり、生徒の心にも伝わっていたのだと深い感銘を受けました。ただ母校とはいえ、慎重に言葉を選びながら話しました。というのは、先輩である我々だからこそ、生徒さんに与える影響は非常に大きいからです。

私にとって出張授業を行ったことは、胸に抱く情熱と激励を後輩に伝えられただけでなく、自分の歩んだ道を振り返り、今後の自分にもエールを送ることのできた有意義な経験になりました。