川越高校訪問記

講師 神谷隆之 (理学系研究科物理学専攻 M2)

川越高校写真1

多くの生徒が来てくれました

 
川越高校写真2

講義の様子

 
川越高校写真3

論理回路実習の様子

 

 2010年11月8日に、埼玉県立川越高校に出張授業へ行ってきました。きっかけは、お隣の研究室の先輩でBAPの元代表でもある音野さんに、「川越高校に出張授業に行ってみないか?」と声をかけて頂いたことです。何でも私たちBAPと川越高校は5年来のつきあいで、毎年我々の関係者が川越高校に出張授業に行かせて頂いているそうです。
 はじめは不安もありました。講義と実習を含んで約90分の枠で約70人の生徒を対象とした講座を受け持ってほしいとのことでしたが、私はそれほど長い時間を与えられて講義や実習を受け持つなどの経験はなかったですし、私などにこの役目が務まるのかと心配しました。しかし高校側ももう5年目で慣れたもので、始めからアウトラインなどを提示してくださいましたし、BAPの方でも練習会を行ってくれる等のバックアップをしてくれるとのことでしたので、それならばやってみよう、ということで引き受けることにしました。

 私の授業では約60分の講義と約30分の実習をすることになりました。講義の内容としては私の経歴や進路選択の話から始まり素粒子物理学概観の話、私の研究内容の話をすることになりました。実習内容は、私の専門分野に近い論理回路の実習ということになり、実習用のブレッドボード(※1)は高校側で用意してくださいました。
 また講義の練習会もBAPの方で開催してくださり、大変助かりました。特にこんなに長い時間喋り続けるという機会もなかなかないですので良い練習になりましたし、スライドや全体の話の構成などについてもアドバイスを頂くことができて、授業の質の向上につながりました。

 さて迎えた本番ですが、前半の講義はやはり練習会とは違って多くの生徒の生の反応が見られますので、とてもやりがいがありました。ついつい話が長くなってしまい、講義だけで20分近くも延長してしまいました。次の論理回路実習でも生徒たちと活発に交流することが出来ました。最後の質疑応答では予想以上に多くの生徒から質問が出て、とても嬉しく思いました。質問内容に関しては、高校生ならではの純粋な視点ならではというか、「ミューオンはどうして存在しなければいけないのか」、「ヒッグス粒子は見つかっていないのに何故あると分かるのか」など、物理の本質を突くような鋭い質問が多く、私も初心に帰ってあらためて考えさせられました。
 もともと全体で90分の予定だったのですが、最終的には1時間も延長して合計2時間半にもなってしまいました。もっと時間配分などをきちんと考えて余裕を持たせておくべきであったと反省をしてはいますが、今回の出張授業は私にとってもとてもためになるものでしたし、私にとっても生徒にとっても実りのある出張授業になったのではないかと思っています。

(※1)電子部品やジャンパ線を差し込むだけで、はんだ付け不要で手軽に電子回路を作ることのできる基板。